SharePoint Online へ移行!ツールやポイントも解説

Microsoft 社が提供している Microsoft SharePoint(以下、SharePoint )は、部署やチームでファイルの共有・管理ができるサービスです。SharePoint はオンプレミス環境だけでなくクラウド環境(SharePoint Online)でも利用できるため、ローカルで管理・運用していたファイルやドキュメントをクラウドに移行すれば、より効率的な情報共有が可能になります。

SharePoint Online へのクラウド移行を検討中の企業のなかには、「具体的な移行方法が分からない」「移行する際に気をつけるポイントはあるのか」などと疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、SharePoint Online への移行方法や移行ツールを使用する際のポイントについて解説します。

SharePoint を上手に活用する方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

※ Microsoft SharePoint は、マイクロソフト グループの企業の商標です。

目次[非表示]

  1. 1.移行の目的と種類
    1. 1.1.なぜ今、 SharePoint 移行が必要なのか?
    2. 1.2.移行の種類と特徴
      1. 1.2.1.①オンプレミス → SharePoint Online(クラウド移行)
      2. 1.2.2.②ファイルサーバー・他ツール → SharePoint Online
      3. 1.2.3.③テナント間移行
  2. 2.SharePoint の移行ツールと移行方法
    1. 2.1.Microsoft 標準ツール
      1. 2.1.1.SharePoint Migration Tool( SPMT )
      2. 2.1.2.Migration Manager
    2. 2.2.サードパーティ製ツール
      1. 2.2.1.Sharegate
      2. 2.2.2.AvePoint Fly
  3. 3.移行する際のポイントと注意点
    1. 3.1.ポイント
    2. 3.2.注意点
    3. 3.3.コスト
  4. 4.まとめ: 保管から資産化へ

移行の目的と種類

なぜ今、 SharePoint 移行が必要なのか?

多くの企業がオンプレミスの SharePoint Server やファイルサーバーから、クラウド型の SharePoint Online へ移行しています。その背景には、単なるコスト削減以上の戦略的理由があります。

▼レガシーシステムのサポート終了への対応

Microsoft は、オンプレミス版の各バージョンに対してサポート期限を設けています。

製品

サポート期限

SharePoint Server 2016

2026年7月14日

SharePoint Server 2019

2026年7月14日

※参考リンク:SharePoint Server 2016SharePoint Server 2019

期限が切れたシステムを使い続けることは、セキュリティ脆弱性の放置につながり、コンプライアンス上の大きなリスクとなります。

▼DX とハイブリッドワークの推進

SharePoint Online への移行により、場所を問わず安全にデータへアクセスできる環境が整います。 昨今のビジネスシーンでは、オフィスと自宅、あるいは移動中であってもシームレスに共同編集ができることは「必須条件」と言えるでしょう。

▼AI(Microsoft 365 Copilot)の活用基盤

現在、ビジネスを加速させている Microsoft 365 Copilot は、 SharePoint 上のデータを学習・参照して回答を生成します。 AI を活用したコンテンツ管理や Microsoft Teams との深い統合など、最新機能を利用するためにも移行を進める企業が増えています。

移行の種類と特徴

移行プロジェクトを成功させるためには、まず自社がどのタイプの移行に該当するかを正しく把握することが重要です。

①オンプレミス → SharePoint Online(クラウド移行)

SharePoint には、オンプレミス環境で利用する『SharePoint Server』と、クラウド環境で利用する『SharePoint Online』の 2 つがあります。ここでいう SharePoint の移行とは、SharePoint Server から SharePoint Online へ、ファイルやサイトなどのコンテンツを移行することを指します。Microsoft 365 の他サービス( Teams 、 OneDrive など)との連携が強化される点がメリットのひとつです。

SharePoint Server と SharePoint Online の主な特徴は以下のとおりです。

▼ SharePoint Server ・ SharePoint Online の特徴

種類
特徴
 SharePoint Server 
(オンプレミス)
  • 自社のサーバー内で運用して、ファイルの共有・管理を行う
  • 自社内のほかのシステムと連携しやすく、システム構成のカスタマイズ性が高い
 SharePoint Online 
(クラウド)
  • クラウドサーバーで運用して、ファイルの共有・管理を行う
  • インターネット環境があれば人や場所を選ばず使用でき、リアルタイムな情報共有が可能
  • 常に最新の脆弱性対策やセキュリティが自動適用されデータが保護される

  • スケーラビリティが高く、ユーザー数の増減に柔軟に対応できる

②ファイルサーバー・他ツール → SharePoint Online

Windows ファイルサーバーや、 Dropbox 、 Box 、 Google Drive などのストレージサービスから SharePoint Online に移行するパターンです。

SharePoint Online はただのファイル置き場ではなく、権限管理・ワークフロー・ポータルサイト機能を持つプラットフォームです。そのため、移行時には単純なファイルコピーだけでなく、 SharePoint Online の機能を活用した情報設計が重要になります。

③テナント間移行

企業合併や分社化、グループ会社の統合などにより、 SharePoint Online のテナント(契約単位)を統合・分割するケースです。テナント間移行は技術的難易度が高く、専門ツールや外部ベンダーの支援が必要になることがほとんどです。

特徴

ドメイン名の変更や、ユーザー ID(UPN)の紐付け直しが発生するため、 3 つのパターンの中で最も難易度が高いと言えます。

課題

メール(Exchange Online)やチャット(Teams)の移行と並行して行う必要があり、綿密なエンジニアリングが求められます。

SharePoint の移行ツールと移行方法

移行作業を効率化するためには、適切なツール選定が欠かせません。ここでは主なツールを紹介します。

Microsoft 標準ツール

SharePoint Migration Tool( SPMT )

Microsoft 社が無償で提供している移行ツールです。以下の移行に対応しています。

  • ファイルサーバー → SharePoint Online
  • SharePoint Server 2010/2013/2016/2019 → SharePoint Online

移行ツールを使用するには、事前にインストールが必要です。インストール後にツールを起動して、SharePoint Online のユーザー名・パスワードを入力してログインしておきます。

この際、SharePoint Server からの移行だけでなく、パソコンに保存されているローカルファイルからの移行も可能です。

それぞれの方法について、以下で詳しく解説します。

【SharePoint Server からファイルを移行する】

SharePoint Server からファイルを移行する手順は、次のとおりです。

▼主な手順

  1. 「最初の移行を開始」を選択
  2. 「SharePoint Server」を選択
  3. SharePoint Server の URL とアカウント情報を入力
  4. サインインして「次へ」を選択
  5. 移行先となる SharePoint Online のURLとユーザー情報を入力
  6. サインインして「次へ」を選択
  7. ドロップダウンメニューを開き、移行対象ファイルのあるライブラリを選択
  8. 移行先の SharePoint Online のURLを入力
  9. 転送先のライブラリを指定して「追加」を選択
  10. ほかの移行ファイルがある場合は「ソースの追加」を選択し手順を繰り返す
  11. すべての移行が完了したら「次へ」を選択
  12. 「移行」を選択して完了

【ローカルファイルからファイルを移行する】

ローカルファイルからファイルを移行する手順は、次のとおりです。

▼主な手順

  1. 「最初の移行を開始」を選択
  2. 「ファイル共有」を選択
  3. パスワード設定がされている場合はパスワードを入力して「次へ」を選択
  4. 移行先の SharePoint Online のURLを入力
  5. 転送先のライブラリを指定して「追加」を選択
  6. ほかの移行ファイルがある場合は「ソースの追加」を選択し手順を繰り返す
  7. すべての移行が完了したら「次へ」を選択
  8. 「移行」を選択して完了

Migration Manager

Microsoft 365 管理センターから利用できるクラウドベースの移行ツールです。エージェントをインストールすることで、複数台のコンピューターから並行して移行作業を行えます。大規模なファイルサーバー移行に向いています。

サードパーティ製ツール

より複雑な要件や大規模移行には、サードパーティ製ツールの利用も選択肢となります。

Sharegate

カナダ企業が開発した SharePoint 移行ツールで、国内でも広く利用されています。直感的な UI で操作しやすく、コンテンツ・権限・メタデータを含めた包括的な移行が可能です。テナント間移行にも対応しています。

AvePoint Fly

エンタープライズ向けの高機能移行ツールです。大規模なテナント間移行や複雑な権限構造の移行に強みを持ちます。

移行する際のポイントと注意点

ポイント

クラウド環境で利用できる SharePoint Online に移行する際は、事前にどのようなデータを移行するかを定めて、計画的に進める必要があります。押さえておくポイントには、次の 5 つが挙げられます。

①移行元の現状分析

SharePoint Online に移行する際、移行元にどの程度のファイルやコンテンツがあるのか現状を分析することが必要です。これは、移行するファイルやコンテンツの数やデータサイズによって、移行にかかる時間が変わるからです。

▼調査すべき主な内容

  • 移行対象のデータ量( GB または TB 単位)
  • 現在の権限設定(誰がどのサイトにアクセスできるか)
  • 利用しているサードパーティ製アドオンやソリューション

また、 SharePoint Server を利用している場合は、ローカル環境とオンライン環境での相違点を確認しておくことも重要です。ローカル環境で利用できていた機能が、クラウド環境への移行によって利用できなくなるケースもあります。

なお、SharePoint 環境のコンテンツをスキャンして現状を把握するには、Microsoft から無料で提供されている SharePoint 移行評価ツール『SMAT(SharePoint Migration Assessment Tool)』を使用するのがおすすめです。SMAT を活用すると、移行時の問題点を事前に洗い出せます。また「 Migration Manager 」のスキャン機能も、移行対象の把握に役立ちます。

②移行するコンテンツの選定

SharePoint Online にはデータ容量の制限があり、不要なコンテンツまでクラウドに移行すると容量を圧迫してしまいます。そのため、移行前にはクラウド移行が必要なコンテンツを整理しておくことが重要です。また、データ容量を減らすには、ファイルを圧縮して保存したり、ドキュメントの保存期間・廃棄ルールを定めたりすることもポイントです。

③テスト移行の実施

SharePoint Online への移行に際しては、予期せぬトラブルが発生して、データ移行が失敗したり、中断してしまったりするおそれがあります。このようなリスクを防ぐために、事前にテスト移行を実施して、正常に移行ができるかどうか、動作を確認しておくことが欠かせません。

④ユーザーへの周知とトレーニング

移行は「IT 部門だけの仕事」ではありません。技術担当者だけでプロジェクトを進めず、現場のユーザー代表も交えた形で計画・検証を行いましょう。

  • ユーザーへの周知: 移行スケジュールの早い段階からユーザーへの説明を開始します。
  • マニュアルの作成: 新しい操作方法(ブラウザでの操作、 Teams との連携など)を関係各所に伝えます。
  • 読み取り専用期間の設定: 移行直前の週末など、データの更新を禁止する期間を明確にします。

⑤段階的な移行の検討

テスト移行で問題がないことを確認したら、いよいよ本番移行です。

SharePoint Online にはさまざまな機能があります。一度に多くの機能を盛り込んだり、すべての部門で同じ機能を導入したりすると、従業員が機能をうまく使いこなせず、定着しない可能性があります。スムーズな移行・運用を図るためには、部署ごとに必要な機能要件を定めたうえで、段階的な移行を検討することがポイントです。

段階的に移行する方法には、主に 2 つのパターンがあります。

▼段階的な移行方法

移行方法
詳細
単機能と全導入
 使用できる機能を最小限にして、社内全体に導入する
多機能と単部門導入
 なるべく機能を制限せず、単部門に導入する

大規模な場合は、夜間や週末を利用してネットワーク帯域への影響を抑えます。

注意点

注意点①:パスの長さ制限( 400 文字の壁)

Windows のファイルサーバーでは許容されていた深い階層も、 SharePoint Online では URL 全体で約 400 文字以内(デコード後)に収める必要があります。

解決策: 移行を機に、サイトを細かく分割し、フォルダの階層を浅くします。

注意点②:アクセス権限の複雑化

「このフォルダだけ特定の個人に見せる」といった細かい権限(固有の権限)が多すぎると、パフォーマンス低下や管理不全を招きます。

解決策: 原則として「サイト単位」または「ライブラリ単位」で権限を設定し、例外を最小限に抑えます。

注意点③: Excel などのファイル間リンク切れ

Excel ブック同士が相互にリンクしている場合、クラウドへ移動するとリンクが壊れることがあります。

解決策: 重要なファイルは、移行後に「 Power BI 」への置き換えを検討するか、リンクの修復ツールを検討してください。

コスト

移行プロジェクトのコストは、規模や複雑さによって大きく異なります。以下に主なコスト項目を整理します。

▼ライセンスコスト

Microsoft 365 のプランはさまざまですが、 SharePoint Online を利用するには Business Basic 以上のプランが必要です。

▼移行ツールコスト

  • Microsoft 標準ツール( SPMT 、 Migration Manager ):無償
  • Sharegate、AvePoint:要お問い合わせ

▼人件費・外部委託費

社内エンジニアが対応するか、外部ベンダーに委託するかによって大きく変わります。

  • 小規模移行(社内対応):数十万円程度
  • 中規模移行(外部ベンダー活用):数百万円程度
  • 大規模・複雑な移行:数百万〜数千万円規模

外部ベンダーに依頼する場合は、複数社から見積もりを取ることを強くおすすめします。

✅ベンダー選定の主なチェックポイント

  • SharePoint 移行の実績件数・事例が豊富か
  • 提案の内容が自社要件に合致しているか
  • 移行後のサポート体制が充実しているか
  • 費用が予算内に収まるか
  • 担当者のコミュニケーション能力・対応スピード

まとめ: 保管から資産化へ

この記事では、SharePoint の移行について以下の内容を解説しました。

 移行の目的と種類
 SharePoint の移行ツールと移行方法
 移行する際のポイント

SharePoint への移行は、単なるファイルの引っ越しではありません。社内のナレッジを再整理し、 AI 時代に対応した強固な情報基盤を構築する絶好のチャンスです。

オンプレミス環境で利用していた SharePoint Server から、クラウド環境の SharePoint Online にファイル・ドキュメントなどを移行すると、社外からでも円滑に業務・情報共有を行えるようになります。

SharePoint の移行をスムーズに進めるためには、移行元の現状分析をしたうえで、移行するコンテンツを取捨選択する必要があります。また、移行に際しては、事前にテスト移行を実施して、段階的に移行していくことがポイントです。

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