承認ワークフローを SharePoint で作ることの問題点

承認ワークフローを SharePoint で作ることの問題点


目次[非表示]

  1. 1.なぜ、SharePoint の承認ワークフローが必要か
    1. 1.1.従来の紙のワークフローでは時間がかかる
    2. 1.2.ランニングコストを抑えたい
    3. 1.3.社外からでも申請・承認できる
    4. 1.4.使い慣れた Microsoft 365 でワークフローを作成したい
    5. 1.5.紙のワークフローはセキュリティが不十分
  2. 2.SharePoint ワークフローの特徴と作成方法
    1. 2.1.SharePoint ワークフローの特徴
    2. 2.2.「稟議書」を SharePoint と Power Automate で構築する
  3. 3.SharePoint で作成したワークフローの問題点
    1. 3.1. フォームごとに Power Automate を組む必要性
    2. 3.2.組織によって自動選択するようなワークフローは難易度が高い
    3. 3.3.ユーザーの習熟度
    4. 3.4.パフォーマンスの問題
  4. 4.まとめ


SharePoint に組み込まれている機能の一つに、承認ワークフローがあります。これはドキュメントを複数人で回して決裁承認を行う機能です。とても便利な機能ですが、SharePoint でこれを実現するにはいくつかの課題もあります。

本記事では、SharePoint の承認ワークフローについて解説します。ぜひ役立ててください。


なぜ、SharePoint の承認ワークフローが必要か

SharePoint の承認ワークフローは、なぜ必要なのでしょうか。それには主に 5 つの理由があります。


従来の紙のワークフローでは時間がかかる

紙のワークフローでは、時間がかかりすぎてしまう場合があります。なぜなら、紙の書類が現在どこにあるのか可視化できないからです。

また、自分に書類が回ってきても、リマインドメールなどがないので、承認しないまま長時間放置してしまう場合があります。このようなことが重なった結果、紙のワークフローでは時間がかかりすぎてしまうのです。

承認が滞っている場合には、手動でリマインドメールを送って催促をしないといけません。ワークフローの承認者には、上司やさらに上の役職者も存在します。

ワークフローを進めないと仕事が進みませんが、忙しそうにしている上司や、さらに上の役職者に催促して良いものか悩みますよね。承認ワークフローを自動化すると、SharePoint が自動で通知してくれるので、そのような悩みは解消されるのです。


ランニングコストを抑えたい

紙のワークフローでは、いちいち紙に印刷しなければなりません。紙の書類を印刷するには、紙代やトナー代などのコストがかかります。さらに、紙で申請を回すためにかかる労力(=人件費)もかかります。このような紙のワークフローのランニングコストは、意外と馬鹿にできないものです。

また、ワークフローを紙で実行すると、書類を保管、管理する必要もあります。法律で 7 年間の保管が義務づけられている書類もあり、保管する量も膨大になります。そうなると大量の書類を保管するためのスペースが必要であり、適切に管理しなければ紛失や破損のリスクが高まります。その点、SharePoint のワークフローでは、クラウドストレージを利用することで、物理的な保管場所が不要になり、データのバックアップやリカバリも容易に行えます。これにより、書類の保管スペースを節約できます。

書類を探すのにかかる時間も SharePoint ならすぐ検索できるので、労働時間の削減にも繋がります。また、上記のように、SharePoint で実行するとワークフローの流れ自体が速くなりますので、そのぶん労働時間が短縮され、時間的コストや人件費の削減に繋がります。

しかも SharePoint 自体は Microsoft 365 のパッケージに含まれているため、利用するのに追加のコストはかかりません。


社外からでも申請・承認できる

SharePoint Online は、クラウドサービスなので、IDとパスワードさえあればどこでもアクセスできます。つまり、会社にいなくてもスマートフォンの SharePoint アプリを使ってアクセスし、申請や承認ができるのです。

紙のワークフローの場合、会社にいないと申請も承認もできません。仮に承認者が出張だったりすると、その間は、代理で他の上司が承認するなどしないといけません。これでは、ワークフローが混乱しますし、ガバナンスの面でも良くないですね。

しかも、SharePoint を使えば、昨今、注目を集めているテレワークにも対応できます。テレワークを導入している会社が、紙でワークフローを回すのはかなり非効率です。


使い慣れた Microsoft 365 でワークフローを作成したい

社内の業務で使うツールは、使い慣れたものに統一したほうが使いやすいですし、処理も速いです。書類を Word や Excel で作ったのに、いちいち印刷して紙でワークフローを回すのは非効率ですね。

書類の作成からワークフローまで、全て Microsoft 365 でできたほうが便利なはずです。そこで、SharePoint を用いて、承認ワークフローを回すのです。


紙のワークフローはセキュリティが不十分

紙の書類は物理的に紛失や盗難のリスクが高く、重要な情報が含まれる書類が誤って廃棄されたり、意図的に持ち出されたりする可能性があります。特に、承認者が多いほど、署名を収集している間に紛失してしまうというリスクは高まる傾向があります。また、紙の書類はアクセス制御が難しく、誰でも簡単に閲覧できるため、機密情報の漏洩リスクも高まります。

さらに、紙の書類は改ざんが容易であり、承認印やサインの偽造が発生することもあります。これに対して、SharePoint のワークフローではアクセス権限の設定やログの記録が可能であり、情報のセキュリティを強化できます。電子署名や暗号化技術を利用することで、改ざんや不正アクセスの防止にも役立ちます。


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SharePoint ワークフローの特徴と作成方法

SharePoint には、承認ワークフローという機能がついています。これを用いてワークフローのデジタル化が実現できます。


SharePoint ワークフローの特徴

SharePoint ワークフローは、承認のプロセスを自動化する機能です。製造業などでよく使われるフローチャートという図表があります。プログラムの手順などをステップと分岐、ループを組み合わせて表したものです。SharePoint ワークフローは、標準の作業プロセスを組み合わせて作ったフローチャートのようなものなのです。

例えば、紙の書類でワークフローを回す場合、書類を送ったり確認のメールを送信したりすることを自分の手作業でやらないといけません。しかし、SharePoint の承認ワークフローを使えば、書類の送信やメールの送信、書類の追跡は全て自動で行われます。ワークフローが止まっている場合のリマインドメールなど、自動で送信できます。それぞれの送信者は、通知が来た書類を読んで承認していくだけでよく、人手でワークフローを監視する必要が無くなるのです。


「稟議書」を SharePoint と Power Automate で構築する

承認ワークフローは SharePoint と Power Automate を使って実現できます。以下のような手順で作ります。

  1. SharePoint サイトで稟議書の名前をつけたリストを作成します。今回は「稟議A」とします。
  2. 稟議Aのリストを作ったら、全般設定・権限管理の編集をします。
  3. Power Automate でフローを作成します。どんな名前でもかまいません。今回は「承認フローA」とします。
  4. 「自動化されたクラウドフロー」を選択し、「SharePoint:項目が作成されたとき」をトリガーにします。
  5. 「新しいステップ」を選択し、「開始して承認を待機」を選択します。次に各項目を設定します。
  6. 「新しいステップ」を選択し、「条件」を選択します。左辺を「結果」右辺を「Approve」と入力します。
  7. 条件が「はい」の場合に「項目の更新」アクションで、申請の状態を「承認済」にします。
  8. 条件が「いいえ」の場合に「項目の更新」アクションで、申請の状態を「却下済」にします。
  9. 「新しいステップ」を選択し、「メールの送信(V2)」アクションを選択します。そして送るメールの内容を設定して完成です。

ワークフローの構築について、図解付きの手順を下記の記事でも紹介しています。

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SharePoint で作成したワークフローの問題点

ここまで、SharePoint でのワークフローの作成について述べてきました。しかし、SharePoint のワークフローは業務の効率化と生産性の向上に大いに役立つシステムですが、デメリットもあります。

ここでは、デメリットと解決策をご紹介します。

SharePoint で作成したワークフローの問題点

フォームごとに Power Automate を組む必要性

Power Automate は、ワークフローの自動化が可能ですが、ワークフローはフォームごとに固有です。つまり、申請に必要なフォームごとに、Power Automate を組まなければいけないのです。

例えば、SharePoint に、休暇を申請するフォームと経費申請のフォームがあったとすると、休暇申請のワークフローと経費申請のワークフローが必要になります。全く同じ作りのワークフローでも個別に作る必要があります。

簡単にワークフローを複製できるテンプレートの機能もありますが、それでもかなり面倒くさいですね。これは、SharePoint でワークフローを作る1つのデメリットと言えるでしょう。



▼解決策


フォームごとに Power Automate を組む必要性を軽減するためには、再利用可能なテンプレートを作成することが有効です。一度作成したフローをテンプレート化し、他のフォームでも再利用できるようにすることで、毎回新しいフローを作成する手間を省けます。

また、共通の業務プロセスを一つのフローとして作成し、複数のフォームから呼び出す方法もあります。これにより、同じプロセスを何度も作成する必要がなくなります。



組織によって自動選択するようなワークフローは難易度が高い

上記のワークフローは、申請者1人と承認者1人のワークフローです。この程度であれば、簡単にできます。

しかし、承認者が 3 人も 4 人もいたり、事業部門と総務部門のように複数の部署に並列的なワークフローを作ったりするのは、難易度が高くなります。なぜなら、承認者や部門が多くなるほど、条件分岐が増えて、複雑化するからです。

しかも、そのような複雑なワークフローをフォームごとに作らなければいけないのでは、かなりの手間になります。この点も SharePoint でワークフローを作るデメリットと言えます。



▼解決策


Power Automate の条件分岐機能を活用し、各部署や承認者ごとの条件に応じたフローを設定します。これにより、特定の条件を満たす場合に自動的に適切なワークフローが選択されます。

また、共通の業務プロセスを一つのフローとして作成し、複数の部署から呼び出すことで効率化を図ります。さらに、テンプレートを利用して標準化し、各部署のニーズに合わせてカスタマイズすることで、設定の手間を軽減できます。

これらの方法を組み合わせることで、複雑なワークフローの管理が容易になります。



ユーザーの習熟度

SharePoint ワークフローを効果的に利用するためには、ユーザーがその操作方法を十分に理解している必要があります。しかし、多くのユーザーはワークフローの設定や管理に不慣れであり、トレーニングが必要です。

特に、複雑なワークフローを設定する場合、ユーザーは詳細な知識とスキルを持っている必要があります。これには時間とリソースが必要であり、組織全体での導入が遅れる原因となることがあります。

また、ユーザーインターフェースが直感的でない場合、操作ミスが発生しやすく、ワークフローの効果的な運用が妨げられることがあります。



▼解決策


SharePoint ワークフローを効果的に運用するためには、ユーザー教育が欠かせません。まず、導入時にトレーニングプログラムを実施し、ユーザーが基本的な操作方法を習得できるようにします。

特に、ワークフローの設定や管理に関する詳細なトレーニングを提供することで、ユーザーのスキル向上を図ります。また、定期的なフォローアップトレーニングを実施し、新機能や変更点についての情報を共有します。

ユーザーから操作感などのフィードバックを収集し、ユーザーインターフェースを使いやすいものに改善することも、早期習得の助けとなります。さらに、ユーザーマニュアルやFAQを整備し、ユーザーが自己解決できる環境を整えることも重要です。これにより、ユーザーの習熟度が向上し、ワークフローの効果的な運用が可能となります。



パフォーマンスの問題

SharePoint ワークフローは、多くのデータを処理する際にパフォーマンスの問題が発生することがあります。

特に、大規模なデータセットを扱う場合、ワークフローの実行速度が遅くなり、全体の効率が低下することがあります。サーバーの負荷が増加し、他の業務プロセスにも影響を及ぼす可能性があります。

これに対処するためには、データ処理の最適化やサーバーリソースの管理が必要です。しかし、これらの対策も完全な解決策とはならず、パフォーマンスの問題が完全に解消されるわけではありません。



▼解決策


SharePoint ワークフローのパフォーマンスを改善するためには、データ処理の最適化が必要です。まず、ワークフローの設計段階で効率的なデータ処理方法を取り入れます。

例えば、大規模なデータセットを扱う場合、データを分割して処理する方法を検討します。また、サーバーリソースの管理も重要です。サーバーの負荷を分散させるために、複数のサーバーを活用するクラスタリング技術を導入することが有効です。

さらに、定期的なパフォーマンスモニタリングを行い、問題が発生した際には迅速に対応できる体制を整えます。これにより、ワークフローの実行速度が向上し、全体の効率が高まります。



まとめ

SharePoint でワークフローを自動で実施するのは、組織の業務効率をアップさせます。紙のワークフローを回していたときよりも、はるかに速く、低コストでワークフローを回せるでしょう。

ただ、SharePoint ワークフローは初心者にとっては設定や管理が難しいのも事実です。この問題を解決するためには、アドオン製品の活用が効果的な方法の一つです。

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