Azure の可用性セットとは?仕組みや基本概念を超簡単に説明!
目次[非表示]
- 1.Azure の基本
- 2.可用性セットとは
- 2.1.可用性ゾーンとの違い
- 3.可用性セットの仕組み
- 4.障害ドメインと更新ドメイン
- 5.まとめ
- 6.Microsoft 365 無料相談実施中
Azure の可用性セットは、「サーバーの障害」や「計画メンテナンス」などの状況下でも、Azure の稼働を維持して業務を継続するために用意された Microsoft が提供するクラウドサービス型のソリューションです。システムを安定して稼働させるためには、Azure の「可用性」について理解しておく必要があります。そこで今回は、Azure の可用性セットの特徴や仕組みなどを詳しく解説します。可用性セットに似たものとして「可用性ゾーン」というものもあるので、これらの違いについても触れていきます。可用性セットについて正しく理解し、Azure の可用性を高めておくことで安心してコア業務に集中できますよ。
Azure の基本
まずは、Azure の基本についておさえておきましょう。
Azure は、Microsoft が提供するクラウドサービスの1つで、サービス形態としては IaaS または PaaS になります。これらは、インターネット経由で仮想マシンや機械学習ツールなどのさまざまなサービスが利用できるものです。下記が汎用性の高いコアサービス一覧です。
● コンピュート:VM などを作成できる
● ストレージ:VM のストレージやファイル共有サービス
● ネットワーク:仮想的なプライベートネットワークの構築や、オンプレミス型と接続するためのゲートウェイサービス
● データベース:目的別に用意されたいるフルマネージドのリレーショナル NoSQL メモリ内データベースサービス
データベースの種類の確認は下記のサイトを参照ください。
※参考サイト:Microsoft 公式サイト| Azure 上のデータベースの種類
似たようなサービスとしては、有名どころでAmazonが提供しているAWSや、Googleが提供しているGCPなどがありますね。Azure は、下記3つのコンポーネントでその仕組みを支えています。
こういったクラウドサービスで重要な指標となるものの1つが、「可用性」です。可用性とは、システムの稼働率を示すもので、クラウドを正常な状態で使い続けられる能力を指します。クラウドサービスが業務に欠かせない場合、システム障害が発生すればビジネス上の損失につながりかねないですよね。可用性は、セキュリティと同様にクラウドシステムを動かすうえで必ずおさえておかなければならない項目なのです。ちなみに、Microsoft は Azure の VM(仮想マシン)であれば 99.95%、ストレージアカウントであれば 99.9% の稼働率を保証しています。この数値を下回った場合はサービスクレジットといって、申請を行うことで 10% の返金が受け取れます。
Azure の基礎知識や特徴について、下記のブログで紹介しています。ぜひ、ご参照ください。
コンピュート(仮想マシン)の可用性
Azure の可用性について考えていくうえでまず重要なのが、仮想マシン(VM)単体で見た可用性です。VM にもさまざまなスペックのものがラインナップされており、もちろんですが高スペックものの方が高負荷に耐えられます。要素としては以下の3つを考えていきます。
● コンピュート:CUP やメモリ
● ストレージ:ディスクへの読み書き
● ネットワーク:VM との通信
※参考サイト:Microsoft 公式サイト| Azure Virtual Machines の可用性オプション
Azure の仮想マシンのサイズ ・ Azure コンピューティング ユニット (ACU)
可用性セットとは
可用性セットとは、データセンター内での可用性を維持するために、予備システムを用意して突如の障害やアクセスの急増などによる高負荷に対応できるようにするものです。基本的には局所的なハードウェア障害が起きたときに保護する仕組みです。物理サーバーや電源、ドライブなど、サーバーラック内のメインシステムに何か障害が発生したとしても、すぐに予備の VM を使うことでシステムを停止させないようにします。とくに、メンテナンスが実行される際などは、意図せぬ停止が起きる可能性が上がりますが、可用性セットがあればこういった状況でも業務の継続が可能です。可用性セットの利用にはコストがかかりませんが、1つの可用性セット内に2つ以上の VM があった場合は、VM の台数分の料金が発生します。ちなみに、SLA(サービスレベルアグリーメント:サービス提供者が利用者に保証するサービスレベル。今回の場合は稼働率を示す。)を 99.95% にするには、同一の可用性セット内に2つ以上の VM を配置しておく必要があります。
※参考サイト:Microsoft 公式サイト| 可用性セットの概要
可用性ゾーンとの違い
可用性ゾーンも Azure の高可用性を提供するサービスです。少し話が変わりますが、Azure は、世界中にデータセンターをもっています。Azure を構成するコンポーネントの箇所でも触れましたが、データセンターは地域ごとに区切られて「リージョン」と呼ばれています。実は、世界のリージョンすべてが可用性ゾーンに対応しているわけではなく、日本であれば西日本リージョンと東日本リージョンがあり、東日本リージョンのみが可用性ゾーンに対応しているのです。この可用性ゾーンは、電源・冷却システム・ネットワークを独立してもつ1つ〜複数のデータセンターで構成されています。東日本リージョンの中の可用性ゾーンも複数存在し、可用性ゾーン同士は、物理的に離れた場所に存在しています。可用性セットは、データセンター内のサーバーラック内で発生する障害に対するものですが、可用性ゾーンはデータセンターそのものの障害に備えたものと言えるでしょう。たとえば、豪雨や津波などの自然災害によってデータセンターそのものがダメージを受けた場合などが考えられます。可用性ゾーンを使用していれば、どこかのデータセンターが災害などで壊れてしまっても、他のゾーンでサービスを稼働させられるので、全体的な可用性を高めることが可能です。ちなみに、可用性ゾーンにはカテゴリがあり、ストレージアカウントなどに見られる「ゾーン冗長サービス」ではリソースが各ゾーンに自動的に複製されていきます。また、「ゾーンサービス」という方式もあり、リソースを配置するゾーンを指定することも可能です。可用性セット同様に、可用性ゾーンの使用自体に課金はされませんが、2つの可用性ゾーンに2台を配置した場合は VM 2台分の料金が発生します。
※参考サイト:Microsoft 公式サイト| リージョンと可用性ゾーン
可用性セットの仕組み
ここからは、可用性セットがどのような仕組みで冗長化を図っているのかを解説していきます。可用性セットでは、Azure のプラットフォーム上で障害ドメインと更新ドメインが自動的にうまく分散されるようになっています(各ドメインについての詳細は後述します)。Azure の仮想マシンを「障害ドメイン」「更新ドメイン」にわけることで、ハードウェアのメンテナンスやサーバーの障害によるリスクを分散させることが可能です。たとえば、障害ドメインが1つの場合は、この障害ドメインが何らかの障害で動かなくなってしまった場合は、サービスそのものが停止してしまいます。しかし、障害ドメインが3つある場合は、1つの障害ドメインでトラブルが起きても、2つ目と3つ目に割り当てられた障害ドメインの VM が稼働できるので、サービスは停止しません(※障害ドメイン3つまでのサポートを行っているのはアメリカなどのリージョンであり、東日本リージョンは該当しません)。更新ドメインも同様に、1つの更新ドメインにアップデートや計画メンテナンスがかかっても、2つ目以降の更新ドメインを保持しておけば、稼働を継続できるわけです。5つを超える更新ドメインをもつ可用性セットの場合、6つ目の更新ドメインは、1つ目の更新ドメインが割り当てられている VM に配置され、7つ目は、2つ目の更新ドメインが割り当てられている VM へ、8つ目は、3つ目のものへと配置されていきます。障害ドメインは、最大3個、更新ドメインは最大20個までとなっており、使いたいドメインの数は指定できます。
※参考サイト:Microsoft 公式サイト| 可用性セットのしくみ
障害ドメインと更新ドメイン
上述したように、可用性セットを実現させる仕組みとしてデータセンター内には、「障害ドメイン」と「更新ドメイン」というものがあります。以下が各ドメインの詳細です。
まとめ
今回は、Azure の可用性セットについて概念的なことや仕組みについて、また、可用性ゾーンとの違いについて解説しました。Azure では、仮想マシンそのものの可用性を高めたり、可用性セットや可用性ゾーンを使用したりすることで多層的に可用性を高めています。デジタル化が進んだ昨今、Azure のようなクラウドサービスを活用しながらビジネス展開をしている企業は非常に多く、もしシステムダウンしてしまったら大きな損失をだしかねないです。なので、セキュリティ同様に、可用性は必須対策項目と言えるでしょう。可用性セットは、データセンター内で行う VM の冗長化の方法であり、複数の障害ドメインと更新ドメインを分散することで、電源やサーバーなどの障害やメンテナンス時にもシステム稼働を維持できます。Azure の検討、または、導入を考えている場合は、ぜひ可用性セットや可用性ゾーンを利用してみてください。
Azure を導入する方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
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