Azure で仮想環境を構築するには? 利用できるサービスや手順を分かりやすく解説
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マイクロソフト社が提供している Microsoft Azure(以下、Azure)は、業務に役立つさまざまなサービスが利用できるクラウドプラットフォームサービスです。
クラウド上で稼働する仮想環境を構築することで、オンプレミス環境で管理していたサーバやシステムをクラウドへ集約または連携して、効率的に運用管理を行えるようになります。
Azure で仮想環境を構築しようと考えている企業担当者のなかには「Azure の仮想環境で何ができるのか」「どのような手順で仮想環境を構築するのか」と疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
この記事では、Azure の仮想環境に関する基礎知識や利用できるサービス、仮想環境の構築手順について解説します。
なお、Azure の基礎知識についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
Azure の仮想環境とは
Azure の仮想環境とは、物理的なハードウェアとなるコンピュータや CPU のなかで疑似的に構築された仮想的な環境のことです。
提供される仮想環境には、次の 4 つがあります。
▼Azure が提供している仮想環境
- 仮想マシン(仮想サーバ)
- 仮想ネットワーク
- 仮想ストレージ
- 仮想メモリ
仮想マシンは、ホストコンピュータやプロバイダのデータセンターから専用の CPU・メモリ・ストレージを借用することで、アプリケーション・サービスを独立した環境で稼働させる仕組みのことです。
仮想環境でアプリケーション・サービスを稼働させることによって、保守・メンテナンスの負担や運用コストの削減が期待できます。また、自由なスケーリングができるため、用途やニーズに応じて Azure のリソースを柔軟に増減することが可能です。
Azure で構築した仮想環境で利用できる代表的なサービス
Azure で構築した仮想環境では、Web アプリケーションや AI を利用したサービス、システムの開発などを行えるサービスを利用できます。
Azure Web Apps|Web アプリケーションの開発環境構築
Azure Web Apps は、複数のプログラミング言語を使用して Web アプリケーションを構築できるサービスです。
セキュリティ・負荷分散・自動スケーリングなどのさまざまな機能が備わっており、業務に使用するアプリケーションの開発に役立てられます。Windows と Linux のプラットフォームがサポートされています。
▼Azure Web Apps の活用例
- テンプレートを使用したアプリケーションの構築
- CI / CD 機能を活用したデプロイの自動化
- シングルサインオンやアプリケーション監視機能の追加
Azure AI|AI の利用開発
Azure AI は、専門知識がなくても AI(人工知能)を利用した開発を行えるサービスです。
フレームワークを活用して機械学習モデルを構築・デプロイしたり、アプリケーションに AI 機能を組み込んだりして、独自の AI ソリューションを開発できます。
▼Azure AI の活用例
- チャットボットの作成
- 言語処理によるドキュメントの自動生成、言語翻訳
- 画像・動画処理による対象物の検出
- 実績データに基づいた売上予測
Azure DevOps|システム開発・運用の効率化
Azure DevOps は、システムの開発・管理を効率化するためのサービスや作業環境を利用できるプラットフォームです。
開発部門と運用部門が連携して円滑な共同作業を行うためのさまざまなサービスが備わっており、システム開発に要する工数とコストの削減に役立てられます。
▼Azure DevOps の活用例
- かんばんボードや対話型のバックログなどの機能を活用したアジャイルプロジェクトの進捗管理
- CI / CD 機能を活用した構築・テスト・デプロイの自動化
- 作業履歴やコードの修正・編集などのバージョン管理
Azure で仮想環境を構築する手順
Azure の仮想環境は、Microsoft Azure portal(※)から構築できます。ここからは、具体的な構築の手順について解説します。
※Microsoft Azure portal は、マイクロソフト社が提供する製品です。
手順① Microsoft Azure portal へのログイン
Microsoft Azure portal(以下、Azure portal)のページを開いて、Azure アカウントの情報を入力してログインします。
Microsoft Azure portal は、Azure 内のアプリケーションやサービスなどのリソースを一元管理できるツールのことです。Azure のアカウントにサインインすることで、無料で利用できます。
Azure アカウントを持っていない方は、事前に Azure の Web サイト(https://azure.microsoft.com/ja-jp/free/)から新規作成しておく必要があります。
Azure アカウントの作成方法や Azure portal の使い方については、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
手順②新規リソースグループの作成
Azure portal にログインしたあとは、リソースグループを作成します。
メイン画面の左上に表示される[+新規]から[管理]>[リソースの作成]を選択して、仮想環境の基本設定を行います。
▼リソースグループの設定項目
設定項目 |
入力方法 |
サブスクリプション |
複数のサブスクリプションが利用できる場合はドロップダウンから選択する |
リソースグループ |
リソースグループを新規作成、もしくは既存のリソースグループから選択する |
仮想マシン名 |
仮想マシンの名前を入力する |
リージョン(地域) |
東日本と西日本のどちらかのデータセンターを選択する |
手順③仮想ネットワークの作成
リソースグループを新規作成または選択して仮想環境の基本設定ができたら、Azure portal の画面から[+新規]>[ネットワーキング]>[仮想ネットワーク]の順に選択して、仮想ネットワークを作成します。
▼仮想ネットワークの設定項目
設定項目 |
入力方法 |
サブスクリプション |
複数のサブスクリプションが利用できる場合は、ドロップダウンから選択する |
リソースグループ |
リソースグループを新規作成、もしくは既存のリソースグループから選択する |
仮想マシン名 |
仮想マシンの名前を入力する |
リージョン(地域) |
東日本と西日本のどちらかのデータセンターを選択する |
手順④仮想マシンの作成
仮想ネットワークを作成したあとは、画面の[+新規]から[仮想マシンの作成]を選択して仮想マシンを作成します。
▼仮想マシンの設定項目
設定項目 |
入力方法 |
サブスクリプション |
複数のサブスクリプションを利用できる場合はドロップダウンから選択する |
リソースグループ |
リソースグループを新規作成、もしくは既存のリソースグループから選択する |
仮想マシン名 |
仮想マシンの名前を入力する |
リージョン(地域) |
東日本と西日本のどちらかのデータセンターを選択する |
可用性オプション |
必要に応じて選択する |
セキュリティの種類 |
セキュリティの構成を選択する |
イメージ |
オペレーションシステムのイメージを選択する |
VM アーキテクチャ |
ARM64 または x64 を選択する(Windows の場合は x64 のみ) |
サイズ |
CPU メモリやストレージのサイズを指定する |
管理者アカウント |
仮想マシン上の管理者アカウントを構成する |
パブリック受信ポート |
リモートアクセスする場合、それに応じた受信ポートを開放する |
ライセンス |
Windows Sever のライセンスがある場合はチェックを入れる |
手順⑤ディスクの設定
仮想マシンで利用するディスク(ストレージ)を設定します。仮想マシンの設定画面にあるディスクのオプションで、以下の項目を設定します。
▼ディスクの設定項目
設定項目 |
入力方法 |
OS ディスクの種類 |
通常の場合[Premium SSD]を選択する
パフォーマンスを求めない場合は[Standard SSD]か[Standard HDD]を検討する
|
暗号化の種類 |
通常の場合は既定値を選択する |
Ultra Disk |
高いパフォーマンスが提供されるストレージが必要な場合はチェックを入れる |
データディスク |
あとから追加できるため、空欄のままにしておく |
手順⑥仮想マシンへの接続
仮想マシンを作成できたら、リモートデスクトップでの接続を行います。Windows コンピュータから仮想マシンへ接続する際は、RDP のプロトコルを使用することが推奨されています。
▼仮想マシンへの接続方法(Windows の場合)
- 仮想マシンの概要ページから接続のプルダウンメニューを開いて[PDR ファイルのダウンロード]を選択する
- ポップアップメッセージが表示されるため、[接続]を選択する
- 表示された Windows のセキュリティ画面の[その他]から、[別のアカウントを使用する]を選択する
- 設定した管理者アカウントを入力して[OK]を選択する。警告が表示された場合は、内容を確認して[はい]を選択する。
サーバマネージャーが画面に表示されると、接続は完了となります。
まとめ
この記事では、Azure の仮想環境について以下の内容を解説しました。
- Azure 仮想環境の基礎知識
- Azure で構築した仮想環境で利用できる代表的なサービス
- Azure で仮想環境を構築する手順
Azure の仮想環境を構築すると、物理的なハードウェアのなかにある仮想的な環境内でアプリケーション・サービスを稼働させることが可能です。
アプリケーション・サービスの保守・メンテナンスにかかる負担や運用コストの削減を図れるほか、業務での必要性に応じて Azure のリソースを柔軟に調整しやすくなる利点があります。
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