SharePoint で社員名簿を作成する方法|効率的な活用法と注意点
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現代のビジネス環境では、テレワークや部署横断のプロジェクトが当たり前になり、社員同士の顔と名前が一致しないという課題が増えています。
そんな中、デジタル化された社員名簿の重要性が高まっています。
特に、Microsoft 365 の SharePoint Online(以降、SharePoint)を使えば、社員名簿をオンライン上で簡単に作成・共有でき、社員間のコミュニケーションや業務効率の向上に貢献します。
この記事では、SharePoint を活用した社員名簿の作り方と、その実用的な活用術と注意点をご紹介します。
SharePoint とは?社員名簿に最適な理由
SharePoint の基本概要
SharePoint は Microsoft が提供する情報共有・文書管理プラットフォームです。企業内のチームコラボレーションを促進し、情報の一元管理を実現するツールとして多くの企業で採用されています。
Web ブラウザ上で動作し、Microsoft 365 の他アプリと連携することで、様々なビジネスシーンでの活用が可能です。特に、リストやライブラリ機能を使った情報管理が得意であり、カスタマイズ性の高さも大きな特徴となっています。
▼SharePoint の主な機能
- ドキュメント管理
- リスト作成・管理
- チーム間の情報共有
- ワークフローの自動化
- アクセス権管理
- Microsoft Power Platform との連携
これらの機能により、SharePoint を単なる情報保管庫としてだけでなく、業務効率化のプラットフォームとして活用できます。
SharePoint が社員名簿に適している理由
SharePoint が社員名簿の作成・管理に最適である理由はいくつかあります。
まず、社員情報を一元管理できるため、情報の更新が容易で常に最新の状態を維持できます。
また、アクセス権限の細かい設定が可能なため、人事部門のみが編集でき、一般社員は閲覧のみといった運用も簡単に実現できます。
▼SharePoint が社員名簿の作成・管理に最適である理由
- Microsoft 365 のユーザー情報と連携可能
- 検索機能による素早い人材検索
- 部署やスキルなど多様な項目での分類・フィルタリング
- 変更履歴の自動記録
- モバイル対応でスマートフォンからもアクセス可能
- セキュアな情報管理
特に Microsoft 365 を導入している企業にとっては、既存のユーザー情報と連携できる点が大きなメリットです。
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社員名簿を SharePoint で作成する方法
SharePoint では、社員名簿を構築するための複数のアプローチがあります。
特に「リスト」と「ユーザー Web パーツ」を活用することで、実用的かつ視覚的に優れた社員名簿が作成できます。
また、社内ポータルサイトに組み込むことで、誰でも簡単に社員情報へアクセスできる仕組みを整えることも可能です。
以下で、実際の作成方法を詳しく見ていきましょう。
作成方法①:SharePoint リストを活用する
SharePoint リストは、表形式で情報を整理・表示できる機能です。
社員名簿においては、「氏名」「所属部署」「役職」「電話番号」「メールアドレス」「写真」などの項目を設定し、それぞれの情報を入力していくことで名簿が完成します。
SharePoint リストで作成した社員名簿では、以下のようなことができます。
▼検索・閲覧機能の活用
- 列の並び替えやフィルタ機能により、目的の社員情報へ迅速にアクセス
- 上部の「このリストを検索」機能を使った任意のキーワード検索
- カスタムビュー作成による部署別表示など、目的に応じた情報の可視化
▼Excel での高度な分析
SharePoint リストで作成した社員名簿は Microsoft Excel にエクスポートすることも可能です。Microsoft Excel では以下のようなことができます。
- データのフィルタリングや並べ替え
- 部署別・役職別などの集計
- グラフ作成による視覚的な分析
これにより、社員名簿のデータを多角的に分析しやすくなり、人材配置の最適化や組織構造の分析に役立てることができます。
リスト Web パーツを利用すれば、社内ポータルサイトのホームやページに社員名簿を表示することも可能です。
ただし、リスト Web パーツは検索バーを使った絞り込みができません。そのため、次のような対応が必要になります。
▼解決策
- Microsoft Power Apps でカスタム検索機能を実装
- 検索機能付きのアドオン製品を利用
- リスト本体にリンクして、元ページで検索を行う導線を設ける
検索機能を重視する場合は、Microsoft Power Apps(以降、Power Apps)やアドオンの活用を視野に入れると良いでしょう。
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作成方法②:ユーザー Web パーツを活用する
SharePoint のモダン ページには「ユーザー Web パーツ」と呼ばれる機能があり、Microsoft 365 のユーザー プロファイルと連携して社員情報を自動で表示できます。これにより、メンテナンスの手間を最小限にしつつ、リアルタイムで最新の情報を表示できる柔軟な社員名簿を構築できます。
ユーザー Web パーツには、大中小のレイアウトオプションがあり、それぞれ異なる特徴を持っています。以下にそれぞれのレイアウトの特徴を解説します。
▼小レイアウト
特徴:ユーザーの最小限の情報を表示します。名前と役職、プロフィール写真のみが表示され、説明は含まれません。
使用例:大規模なチームや全社的な社員一覧ページに適しています。多くのユーザーを一度に表示する際に便利です。
▼中レイアウト
特徴:ユーザーの基本情報をバランスよく表示します。後述する大レイアウトと同様、名前、役職、リンク、プロフィール写真が含まれますが、説明は50文字に省略されます。
使用例:チームメンバーの一覧や部門ごとの社員紹介に適しています。基本的な情報を提供しつつ、ページの見やすさを保ちます。
▼大レイアウト
特徴:ユーザーの詳細情報を豊富に表示します。名前、役職、リンク、プロフィール写真、説明(最大255文字)が含まれます。
使用例:役員紹介やプロジェクトリーダーの紹介ページに適しています。詳細な情報を提供することで、閲覧者がユーザーについて深く理解できるようになります。
これらのレイアウトオプションを活用することで、ページの目的やデザインに合わせて最適なユーザー情報の表示方法を選ぶことができます。
さらに、プロフィール写真にマウスホバーすると、ホバーカードからより詳細な情報を確認することも可能です。ホバーカードはどのレイアウトでも同じものが表示されます。
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SharePoint で作成した社員名簿の活用例
コミュニケーション促進
社員名簿は単なる連絡先リストを超えて、社内コミュニケーションを活性化するツールとして活用できます。
SharePoint の社員名簿にコミュニケーション促進機能を追加する例としては、各社員のプロフィールページに「得意分野」「趣味」「最近取り組んでいるプロジェクト」などの情報を追加することが挙げられます。
これにより、業務上の問い合わせ先を探す際に適切な相手を見つけやすくなるだけでなく、共通の趣味や関心を持つ社員同士のつながりのきっかけにもなります。
特に拠点が離れている場合や、リモートワークが増えている環境では、こうしたオンライン上のつながりが重要になってきます。
入退社管理の効率化
人事部門の大きな業務の一つが、入退社に関する情報管理です。SharePoint の社員名簿と Microsoft Power Automate(以降、Power Automate)を連携させることで、この業務を大幅に効率化できます。
新入社員が入社する際には、人事担当者がリストに新しいエントリーを追加するだけで、以下のような一連の処理を自動化できます。
- 関連部署への通知メール送信
- IT 部門へのアカウント作成依頼
- 総務部門への座席・備品準備依頼
- 新入社員向けオリエンテーション資料の自動送信
同様に退職処理においても、退職日を入力するだけで関連部署への通知や、アクセス権の失効処理依頼などを自動化できます。
こうした自動化により、人為的なミスを減らし、担当者の負担を軽減することが可能です。
社員スキルマップの作成
社員の持つスキルや資格情報を社員名簿に追加することで、組織内の「人財マップ」として活用することも可能です。
SharePoint のリスト機能を拡張し、以下のような項目を追加することで、スキルマップとしての機能を持たせることができます。
- 保有資格・認定情報(取得日付も含む)
- 語学スキル(レベル評価も含む)
- IT スキル(プログラミング言語、ソフトウェアなど)
- 業界知識・専門分野
- 過去のプロジェクト経験
これにより、特定のスキルを持つ人材を素早く検索できるようになり、プロジェクトチーム編成や、社内での相談先探しが容易になります。
また、組織全体としてどのようなスキルが充実しているか、逆にどのようなスキルが不足しているかを可視化することで、人材育成計画の策定にも役立てることができます。
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便利な連携機能・拡張例
Power Apps で入力フォームを簡単に
Power Apps を使えば、SharePoint リストの入力フォームをカスタマイズして、より使いやすいインターフェースを構築できます。簡易的なアプリとして開発することで、SharePoint に不慣れなユーザーでも直感的に操作できる環境を提供できます。
▼Power Apps で実現できる機能
- ユーザーフレンドリーなフォームデザイン
- 入力項目の論理的なグループ化
- 条件付き表示(役職によって入力項目を変更など)
- データ検証によるエラー防止
- モバイル対応のインターフェース
これにより、社員情報の入力ミスを減らし、データ品質の向上につながります。
Power Automate で通知を自動化
先述した入退社管理の効率化のところでも軽く触れましたが、Power Automate(旧 Flow)を活用すれば、社員名簿の更新時に自動通知を送るなど、様々な自動化が可能になります。
例えば、新しい社員が追加された際に部署責任者に通知を送ったり、入社記念日に自動的に祝福メールを送信したりするフローを構築できます。
▼自動化の具体例
- 社員情報更新時の関係者への通知
- 誕生日や入社記念日の自動お祝いメール
- 特定のスキルを持つ社員検索と自動リスト化
- 定期的なデータ検証と不備の自動報告
- 定期レポートの自動生成と配信
これらの自動化により、手作業による負担を大幅に削減しながら、情報の鮮度と正確性を維持できます。
Teams タブに追加してアクセス性向上
社員名簿の利便性をさらに高めるには、Microsoft Teams(以降、Teams)のタブとして追加するのが効果的です。
日常的に Teams を使用している組織では、わざわざ SharePoint サイトにアクセスすることなく、Teams 内から直接社員情報を参照できるようになります。
▼Teams タブ化のメリット
- 日常的な業務ツール内からシームレスにアクセス
- チームチャネルごとにメンバー情報をタブ表示
- 会議中にすぐに参照可能
- モバイルアプリからもアクセスが容易
特にリモートワークが普及した現在、Teams と SharePoint の連携は、社員間の円滑なコミュニケーションをサポートする重要な要素となっています。
SharePoint で社員名簿を運用する際の注意点
せっかく構築した社員名簿も、適切な運用・管理がなければその価値は低下していきます。ここでは、長期的に活用するために注意すべきポイントを解説します。
データの最新性を保つ
社員名簿の最大の課題は、情報の鮮度を維持することです。古い情報が残ったままだと、名簿自体の信頼性が低下し、利用されなくなる可能性があります。定期的な更新と確認の仕組みを整えましょう。
▼仕組みの例
- 人事システムとの自動連携による基本情報の同期
- 定期的な情報確認依頼の自動送信
- 情報更新日時の表示と古いデータのハイライト
- 社員自身による情報更新の権限付与と責任の明確化
- 退職者情報の適切な管理(アーカイブ/削除ルールの策定)
特に大規模組織では、情報の更新漏れが発生しやすいため、「誰が」「いつ」「どの情報を」更新するのかという運用ルールを明確にしておくことが重要です。また、定期的なデータクレンジング(不要データの削除・整理)も忘れずに実施しましょう。
権限管理を適切に設定
社員情報には機密性の高いデータも含まれるため、適切なアクセス権設定が不可欠です。必要な人に必要な情報だけを公開する原則に基づき、権限設定を行いましょう。
▼対応例
- 情報の種類に応じたアクセスレベルの定義
- 部署や役職に基づいた閲覧権限の設定
- 個人情報(住所、電話番号など)の特別な保護
- 外部共有設定の厳格な管理
- 権限グループの定期的な見直し
例えば、基本的なプロフィール情報は全社員に公開しつつ、詳細な個人情報は人事部門のみがアクセスできるといった多層的な権限設計が効果的です。
また、退職者の処理漏れによる情報漏洩リスクを防ぐため、定期的な権限監査も重要です。
バックアップの取得
万が一のデータ消失に備え、定期的なバックアップ取得は欠かせません。SharePoint には復元機能がありますが、大規模な誤操作や障害に備えた対策が必要です。
▼対策例
- SharePoint の標準バックアップ機能の活用
- サードパーティツールによる追加バックアップ
- 重要な情報の変更前に手動バックアップ実施
- 復元テストの定期的な実施
- 災害復旧計画への組み込み
特にカスタマイズを多く施した社員名簿システムでは、構成情報も含めたバックアップが重要です。単にデータだけでなく、ビュー設定やワークフローなども含めた完全な復元が可能な体制を整えておきましょう。
また、バックアップデータ自体のセキュリティ管理も忘れずに行う必要があります。
まとめ:SharePoint 社員名簿の導入で変わる社内コミュニケーション
社員名簿は単なる「名前と連絡先の一覧」ではなく、社内の人と人をつなぐコミュニケーションツールです。
SharePoint を使えば、ただのリストではなく、検索性・拡張性・連携性に優れた社員名簿を構築できます。
以下のような企業には特におすすめです。
- 拠点や部門が多く、社員の顔と名前が一致しにくい企業
- テレワークを導入している企業
- 社員の離職率が高く、オンボーディングに課題を感じている企業
SharePoint の豊富な機能を活用し、貴社の業務課題や組織文化に最適化された社員名簿を構築しましょう。適切に設計・運用された社員名簿は、組織の「人」という最大の資産を活かすための重要なツールとなるはずです。