SharePoint をデータベースとして使うには?リストの仕組み・できること・注意点を具体例で解説

📌 この記事で分かること |
「顧客台帳や備品管理を Excel で管理しているが、同時に編集できず困っている」「専用のデータベースを導入するほどの予算はない」「SharePoint をデータベースとして使えないか」こうした悩みを持つ企業さまも多いのではないでしょうか。
結論から言うと、SharePoint の「リスト」機能を使えば、追加ライセンスなしで簡易的なデータベースを構築できます。ただし、得意なことと苦手なことがはっきりしているため、特徴を理解したうえで設計することが大切です。この記事では、SharePoint をデータベースとして活用するための基本から、具体的な活用例、運用上の注意点までを分かりやすく解説します。
目次[非表示]
- 1.SharePoint はデータベースとして使えるのか
- 2.SharePoint リストでできること
- 2.1.データの型を指定した列の作成
- 2.2.ビューによる絞り込み・並べ替え・グループ化
- 2.3.複数人での同時利用とアクセス権限
- 2.4.Power Apps・Power Automate との連携
- 2.5.変更履歴の記録
- 2.6.リストの作り方は複数ある
- 2.7.Copilot in SharePoint でリストを作成・編集する
- 2.8.列の書式設定で見やすくする
- 3.Excel・本格的なデータベースとの違い
- 4.運用前に知っておきたい制限と注意点
- 4.1.保存できる件数は最大 3,000 万件
- 4.2.5,000 件の「リスト ビューのしきい値」
- 4.3.しきい値への対策
- 4.4.ストレージ容量
- 5.SharePoint データベースを定着させるポイント
- 5.1.最初は小さく始める
- 5.2.入力ルールと管理者を決める
- 5.3.社内ポータルサイトから使いやすくする
- 5.4.アクセス権限を細かくしすぎない
- 6.まとめ:SharePoint は「設計次第」で頼れる業務データベースになります
- 7.FAQ:よくある質問
SharePoint はデータベースとして使えるのか
データベースとは何か
データベースとは、決まった形式でデータを蓄積し、検索・並べ替え・集計などをしやすくした「データの入れ物」のことです。たとえば顧客名・電話番号・担当者といった項目(列)を決め、1 件ごとのデータ(行)を登録していく仕組みが典型的です。
SharePoint の「リスト」がデータベースの役割を担う
SharePoint では、「リスト」という機能がデータベースの役割を果たします。リストは表形式でデータを管理する機能で、列ごとにデータの種類(テキスト、数値、日付など)を指定できます。なお、リストは Microsoft Lists アプリからも同じように作成・利用できます。
Microsoft の公式ドキュメントでは、SharePoint のリストやライブラリのデータは、裏側で SQL Server(Microsoft のデータベース製品)のテーブルに保存されていると説明されています。つまり、利用者は意識しなくても、データベースの仕組みの上でデータを管理していることになります(出典:Microsoft サポート「大規模なリストやライブラリのリスト表示しきい値」)。
リストとドキュメント ライブラリの違い
比較項目 | 概要 |
リスト | 行と列でデータそのもの(文字・数値・日付など)を管理します。台帳や申請記録に向いています。 |
ドキュメント ライブラリ | Word や Excel、PDF などのファイルを保管します。ファイルに「部署」「種類」などの列(メタデータ)を付けて管理することもできます。 |
データベースとして使う場合は、基本的にリストを中心に設計します。
「自社の業務でリストをどう設計すればいいか分からない」という方は、 SharePoint 活用の専門チームにご相談ください。 |
SharePoint リストでできること
データの型を指定した列の作成
リストでは、列ごとにデータの種類を設定できます。入力ミスを防ぎ、データの品質を保つうえで重要なポイントです。
主なデータの型 | 内容 |
テキスト | 氏名、件名、備考など。 |
数値・通貨 | 数量、金額など。 |
日付と時刻 | 申請日、期限など。 |
選択肢 | 「未対応・対応中・完了」のように決まった値から選ばせる項目。 |
ユーザー | 社内のユーザーを担当者として指定する項目。 |
参照 | 別のリストの値を参照する項目。データベースでいう「テーブル同士の関連付け」に近い使い方ができます。 |
ビューによる絞り込み・並べ替え・グループ化
「ビュー」とは、同じデータを目的に応じた見せ方で表示する機能です。たとえば「自分が担当の案件だけ」「今月期限のものだけ」といった条件付きの表示を保存しておけます。データ自体は 1 つのまま、使う人に合わせて見せ方を変えられるのが特長です。
複数人での同時利用とアクセス権限
Excel ファイルを共有フォルダーに置く運用では、「誰かが開いていて編集できない」という問題が起きがちです。リストは 1 件ずつのデータ(アイテム)単位で登録・更新するため、複数人が並行して入力しやすくなります。また、サイトやリスト単位でアクセス権限を設定できるため、閲覧のみ・編集可能といった制御も行えます。
Power Apps・Power Automate との連携
SharePoint のリストは、Microsoft 365 の他のサービスと組み合わせることで、さらに活用の幅が広がります。
他のサービス | 内容 |
Power Apps | プログラミングの知識が少なくても業務アプリを作れるツールです。リストをデータの保存先にして、入力しやすい画面を作れます。 |
Power Automate | 定型作業を自動化するツールです。「リストに申請が登録されたら承認者に通知する」といった流れを自動化できます。 |
変更履歴の記録
リストには「バージョン履歴」の機能があり、アイテムが「いつ・誰によって・どのように」変更されたかを確認できます。Excel では誰がどのセルを書き換えたのか追いにくいことがありますが、リストなら変更の経緯をさかのぼれるため、台帳の信頼性を保ちやすくなります。
たとえば、備品の利用者が変わったときに「前の利用者は誰だったか」を確認したい場面や、申請内容が途中で書き換えられていないかを確認したい場面で役立ちます。
リストの作り方は複数ある
SharePoint のリストは、目的に応じて次のような方法で作成できます。
作成方法 | 内容 |
空白のリスト | 列を 1 から設計したい場合に使います。 |
Excel から作成 | 既存の Excel の表を取り込んでリストにします。 |
既存のリストから作成 | 他のリストの列構成や書式を引き継いで作成します。 |
テンプレートから作成 | 課題管理や資産管理など、Microsoft が用意したひな型を使います。 |
Copilot in SharePoint で作成 | 作りたいリストの内容を文章で伝えて作成します(詳しくは次の項目で解説します)。 |
初めての場合は、テンプレートから作成して列構成を確認し、自社の業務に合わせて列を追加・削除する方法がおすすめです。完成形をイメージしやすく、設計の抜け漏れも防ぎやすくなります。
Copilot in SharePoint でリストを作成・編集する
Copilot in SharePoint とは、SharePoint の画面上で使える AI 機能です。普段使っている言葉(自然言語)で指示するだけで、SharePoint のコンテンツについて質問したり、サイト・ページ・リストなどを作成したりできます(出典:Microsoft Learn「Copilot in SharePoint の使用を開始する」)。
▼データベース作りで便利な理由
SharePoint をデータベースとして使ううえで、最初につまずきやすいのが「どんな列を、どの種類で作るか」という設計です。Copilot in SharePoint を使えば、管理したい内容を伝えることで、リスト作成のたたき台を短時間で用意できます。
- 指示の例:「備品名、管理番号、分類、利用者、購入日、状態を管理する備品台帳のリストを作成して」。
- 編集の例:「状態の列に『修理中』という選択肢を追加して」のように、作成後のリストの手直しにも使えます。
ただし、AI が作成した列の構成がそのまま自社の運用に合うとは限りません。データの型や必須項目、絞り込みに使う列(インデックスを作成する列)が適切かどうかは、必ず人が確認しましょう。
▼利用に必要なライセンスと費用
必要なライセンス | 内容 |
Microsoft 365 Copilot Business / Microsoft 365 Copilot | Copilot in SharePoint を使うには、ユーザーに有効な Microsoft 365 Copilot Business もしくは Microsoft 365 Copilot が必要です。リストの作成・編集を含む日常的な機能は、このライセンスに追加料金なしで含まれています。 |
Copilot クレジット(従量課金) | 大量のリストやファイルをまとめて作成・編集するといった大規模な作業は「高度な作業」に分類され、従量課金で Copilot クレジットを消費します。利用するには、管理者が Microsoft 365 管理センターで従量課金を設定する必要があります。 |
出典:Microsoft Learn「Copilot in SharePoint の使用を開始する」
▼提供状況に関する注意点
Copilot in SharePoint の一般提供は 2026 年 9 月 30 日からロールアウト(順次展開)が開始されています。順次展開のため、利用している環境によっては、まだ機能が表示されていない場合があります。社内で案内する際は、自社の環境で表示されているかを事前に確認しておくと安心です。
列の書式設定で見やすくする
リストには、列の値に応じて色やアイコンを変える「列の書式設定」の機能があります。たとえば、対応状況が「完了」なら緑、「未対応」なら赤で表示すると、一覧を見ただけで状況を把握できます。データベースとしての使いやすさは、こうした「見やすさ」の工夫によっても大きく変わります。
Excel・本格的なデータベースとの違い
比較項目 | Excel | SharePoint リスト | 本格的なデータベース (SQL Server など) |
導入のしやすさ | すぐ使える | Microsoft 365 があればすぐ使える | 構築・管理に専門知識が必要 |
複数人での入力 | 競合が起きやすい | アイテム単位で入力しやすい | 得意 |
入力ルールの統制 | 崩れやすい | 列の型・必須設定で統制できる | 厳密に統制できる |
複雑な集計・結合 | 関数で柔軟に可能 | 苦手 | 得意 |
大量データの処理 | 不向き | 設計次第で対応 (制限あり) | 得意 |
▼SharePoint リストが向いている業務
- 備品・資産の管理台帳
- 社内からの問い合わせ管理
- 各種申請の受付と進捗管理
- FAQ やナレッジの蓄積
- イベントや研修の参加者管理
▼SharePoint リストが向いていない業務
- 複数のテーブルを複雑に結合して集計する分析業務
- 頻繁に大量のデータを一括で処理する基幹システム
- 厳密なトランザクション処理(複数の更新をまとめて確実に処理する仕組み)が必要な業務
こうした業務には、Microsoft Dataverse や Azure SQL Database などの専用データベースを検討するのが現実的です。
Microsoft Dataverse とは
Microsoft Dataverse は、Power Apps などの Power Platform で使われるデータの保存基盤です。テーブル同士の関連付けや、細かなセキュリティ設定など、SharePoint リストよりも本格的なデータベースに近い機能を備えています。一方で、利用には Power Apps のプレミアム ライセンスなどが必要になる点に注意が必要です。
判断の目安としては、次のように考えると整理しやすくなります。
- SharePoint リストで十分なケース:部署単位の台帳、件数がそれほど多くない申請管理、追加コストをかけずに始めたい場合。
- Dataverse などを検討すべきケース:複数のテーブルを密接に関連付けたい場合、大量データを高速に処理したい場合、全社の基幹業務に組み込む場合。
まずは SharePoint リストで小さく始め、要件が高度になった段階で移行を検討する進め方も有効です。
運用前に知っておきたい制限と注意点
保存できる件数は最大 3,000 万件
1 つのリストまたはライブラリには最大 3,000 万件のアイテムやファイルを保存できます(出典:Microsoft サポート「大規模なリストおよびライブラリにおけるリストビューの閾値」)。
ただし、件数が増えると、ビューの表示でエラーが出たり、並べ替え時のインデックス作成に時間がかかったりするなど、操作に影響が出る場合があります。たとえば 20,000 件以上のリストでは、インデックスはバックグラウンドで作成されます(出典:Microsoft サポート「すべてのバージョンのSharePointのリストビュー閾値制限での作業」)。
5,000 件の「リスト ビューのしきい値」
SharePoint を データベースとして使う際に最も注意すべきなのが、「リスト ビューのしきい値」です。これは、1 回の表示や検索の処理で扱える件数の上限で、既定では 5,000 件に設定されています。ビューが 5,000 件を超えるアイテムを扱おうとすると、エラーが表示されることがあります(出典:Microsoft Learn「このリスト内のアイテム数がリストビューの閾値を超えています」)。
この制限は、多くの利用者が同時にデータベースへアクセスしても性能を保つために設けられています。保存できる件数の上限ではなく、「一度に処理する件数」の上限である点を押さえておきましょう。
しきい値への対策
Microsoft は、しきい値を超えないための方法として次のような対策を案内しています。
- 列にインデックスを作成する:インデックスとは、本の索引のように目的のデータを素早く探すための仕組みです。
- インデックス付きの列でフィルターをかけたビューを作る:1 回に表示する件数を 5,000 件未満に絞り込みます。
- ビューの設定を見直す:並べ替えやグループ化、合計を外すと、エラーを解消できる場合があります。
- 表示する列を減らす:ユーザー・参照・メタデータの列を 12 個以上表示すると、しきい値エラーの原因になることがあります。
実務では、「データが増えてから対策する」のではなく、リストを作る段階で「どの列で絞り込むか」を決め、インデックスを設定しておくことをおすすめします。
ストレージ容量
SharePoint のストレージは組織全体で共有され、Microsoft 365 Business や Enterprise などのプランでは「1 TB+購入ライセンス数 × 10 GB」が基本の容量です。また、1 サイトあたりの最大容量は 25 TB です(出典:Microsoft Learn「SharePoint の制限」)。添付ファイルを多用するリストでは、容量の消費にも気を配りましょう。
「データが増えてきて表示が遅い」「しきい値エラーが出る」といったお悩みは、 設計の見直しで改善できる場合があります。 |
SharePoint データベースを定着させるポイント
最初は小さく始める
いきなり全社の台帳を移行するのではなく、1 つの部署・1 つの業務から始めるのが成功の近道です。運用してみて分かった課題を反映しながら、段階的に対象を広げていきましょう。
入力ルールと管理者を決める
- 必須項目や選択肢の内容を事前に決めておきます。
- 列の追加や変更を行う管理者を明確にします。
- 不要になったデータの扱い(アーカイブや削除)のルールを決めます。
社内ポータルサイトから使いやすくする
リストを作っても、どこにあるか分からなければ使われません。社内ポータルサイトのトップページにリストへの入口を置いたり、リスト Web パーツでページ上に表示したりすると、日常業務の中で自然に使われるようになります。
アクセス権限を細かくしすぎない
個人情報や機密情報を扱う場合、アイテムごとに個別の権限を設定したくなることがあります。しかし、個別の権限設定が増えると、誰が何を見られるのかを把握しにくくなり、管理の負担も大きくなります。
- 機密性の高いデータは、リストやサイトを分けて権限を設定します。
- 個人ごとではなく、Microsoft 365 グループや SharePoint グループ単位で権限を付与します。
- 定期的に権限を棚卸しし、異動者や退職者のアクセスが残っていないか確認します。
ez office では、散らばったリストをタブで整理して表示できる「ez タブ形式リスト」など、ポータルの使いやすさを高める『ez ポータルパーツ』をご用意しています。 |
まとめ:SharePoint は「設計次第」で頼れる業務データベースになります
SharePoint のリストを使えば、Microsoft 365 の範囲内で、複数人が使える簡易データベースを構築できます。列の型やビュー、アクセス権限を活用すれば、Excel 管理で起きがちな入力ミスや編集の競合を減らせます。Microsoft 365 Copilot ライセンスがあれば、Copilot in SharePoint でリスト作成のたたき台を用意することもできます。一方で、5,000 件のリスト ビューのしきい値や、複雑な集計が苦手といった特性もあるため、用途を見極めた設計が欠かせません。
設計や構築に不安がある場合は、SharePoint を中心に 150 件以上の導入・構築を支援してきた ez office にお気軽にご相談ください。
FAQ:よくある質問
Q.
SharePoint をデータベースとして使うのに追加料金はかかりますか?
A.
SharePoint を含む Microsoft 365 のプランを契約していれば、リスト機能は追加ライセンスなしで利用できます。ただし、Power Apps や Power Automate で一部の高度な機能(プレミアム コネクタなど)を使う場合や、Copilot in SharePoint を使う場合は、別途ライセンスが必要です。
Q.
リストに 5,000 件を超えるデータを登録できますか?
A.
登録できます。1 つのリストには最大 3,000 万件まで保存できます。5,000 件は 1 回の表示や検索で扱える件数の目安であり、インデックスとフィルターを組み合わせたビューを用意することでエラーを回避できます。
Q.
Excel のデータを SharePoint リストに移行できますか?
A.
はい。SharePoint リストでは、Excel の表から新しいリストを作成する方法が用意されています。移行前に、列の種類や不要な列を整理しておくと、移行後の運用がスムーズになります。













