ワークフローにおける 4 つの承認ルートと最適化を図るポイント
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社内業務を遂行するなかで、上司や管理者による承認・決裁が必要になる場面があります。例えば、経費や稟議の申請が挙げられます。
このような申請から決裁までの一連のワークフローにおいて、申請内容に対して誰が承認をするか、どの担当者を経由して最終的な決裁まで行うのかを定めた経路を“承認ルート”といいます。
「承認ルートの途中で業務が停滞してしまう」「書類の受け渡しに時間がかかり、意思決定が遅くなる」などの課題を抱える現場では、スムーズに申請や承認が行えるワークフローへと見直しを図ることが重要です。
この記事では、ワークフローにおける承認ルートの重要性や主な承認ルートの種類、最適化を図るポイントについて解説します。
ワークフローの承認ルートの重要性
ワークフローの承認ルートを定めることは、業務を円滑に遂行して効率化を図るとともに、従業員による不正やミスを防ぐために重要といえます。
業務の効率化
承認ルートを定めて従業員に共有することで、スムーズに申請・承認を行えるようになり、業務を効率的に進めることが可能です。
特に重要な決定や複数の部署をまたぐ場合においては、承認ルートが決まっていると関係者・部署間で情報を把握しやすくなります。申請・承認の業務を効率化できれば、決裁までのスピード向上にもつながります。
不正やミスの防止
ワークフローの承認ルートを明確にすることで、いつ誰が承認したかを社内で把握できるようになり、不正やミスの防止につながります。
承認ルートが定められていない場合、改ざんや承認漏れが発生して、必要な担当者の承認を得ずに決裁に至ってしまう可能性があります。
定めた承認ルートに沿って担当者を経由する仕組みを構築すれば、改ざんや承認漏れによるトラブルを防ぎやすくなるほか、責任の所在も明らかにできます。
なお、ワークフロー管理が必要な業務についてはこちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
ワークフローの承認ルートは主に 4 つ
経費や稟議の申請、備品の購入・予約などに用いられる代表的なワークフローには、主に 4 つの承認ルートがあります。
①直線型
直線型は、あらかじめ決められたルートに沿って申請・承認・決裁の順にワークフローを進行するパターンです。
最終決定を下す決裁者は、権限や職位をもつ経営層または管理者が担うケースが一般的です。決裁者の責任が重くなりやすいため、重要な案件よりも定型的な案件の承認ルートとして用いられています。
②指名型
指名型は、直線型のワークフローから派生した承認ルートのパターンです。
直線型の承認ルートの途中で、その案件に深く関わる人物を新たな承認者として指名して、ワークフローに組み込みます。指名された承認者が、さらに新たな承認者を指名して次々と派生していく場合もあります。
指名型の承認ルートでは、増えていく承認者すべてを把握する必要があるため、直線型と比較して時間がかかりやすくなりますが、より慎重な決裁が可能です。
③並列型
並列型は、複数のルートで並行して承認を進めていき、最終的に決裁者の元に到達するパターンです。
複数の部署をまたいで行われる大規模な案件の決裁に用いられることが一般的です。並列型には複数の承認ルートが存在するため、案件の特性に応じて選ぶ必要があります。
▼並列型で用いられる承認ルートの種類
種類 |
決裁へ進む条件 |
AND 承認(合議) |
すべてのルートで承認された場合 |
多数決承認 |
複数のルートのうち過半数で承認された場合 |
OR 承認 |
いずれかのルートで承認された場合 |
④条件分岐型
条件分岐型は、申請の内容によって承認ルートが分岐するパターンです。
例えば、申請する金額を分岐条件にしている場合、以下のような承認ルートの分岐が考えられます。
▼承認ルートにおける条件分岐の例
申請する金額 |
分岐条件 |
50 万円未満 |
担当者が承認して、課長が決裁者となる |
50 万以上 |
担当者と課長が承認して、部長が決裁者となる |
重要性が高い案件となるほど、権限を有する上司や管理者による慎重な判断を行うフローへと進むように設計されることが一般的です。
ワークフローの最適化を図るポイント
ワークフローの最適化を図るには、各担当者がスムーズに進行できる承認ルートを設定して、進行状況を関係者間で把握できるようにすることがポイントです。
①案件ごとに承認ルートを設定する
案件によって適切なワークフローは異なるため、業務内容や重要性などに応じて承認ルートを設定する必要があります。
承認ルートの種類を踏まえたうえで、柔軟に使い分けられるように設計しておくと、その時々の事情に応じてワークフローを進行しやすくなります。
▼承認ルートを設定するポイント
- 日常的な業務は直線型で行い、規模が大きい業務には並列型を用いる
- 分岐型を用いる場合、案件ごとに分岐基準を明確にする
②担当者の不在時にも対応できるようにする
ワークフローの停滞を防ぐために、担当者が不在の際にも承認が行えるような仕組みを構築しておくことが重要です。
担当者の不在時にその人の承認を待っていると、決裁までに時間がかかり意思決定が遅れる可能性があります。
▼担当者の不在時に対応できるようにするポイント
- 日常的な承認業務には、代理の承認者を設定しておく
- ワークフローを電子化してオンラインで処理できるようにする
承認ルートを定める際に代理の承認者を設定しておくと、担当者の不在の場合でも承認対応ができるようになり、業務の停滞を防げます。
また、ワークフローを紙の書類で管理している場合は、電子化してオンラインで申請・承認を行う形式にすることも有効です。担当者がデスクにいない場合でも、外出先や自宅からモバイル端末を使用して承認を行えるようになります。
③承認ルートの進行状況を可視化する
承認待ちや担当者への確認に要する時間のロスを防ぐには、承認ルートの進行状況を可視化できる体制づくりが求められます。
紙の書類でワークフローを進行する場合、各承認ルートの進行状況を関係者が把握しにくくなり、以下のような問題につながる可能性があります。
▼進行状況を把握できないことによる問題
- 申請者や決裁者が「承認ルートのどの段階で止まっているのか」を把握できず、次の行動に移れなくなる
- 担当者へ承認のリマインドを行ったり、承認の状況を個別に確認したりする作業に労力がかかる
承認ルートの進行状況を可視化することによって、チャットまたは電話でのリマインドや確認作業が不要になり、決裁までの時間を短縮できます。承認ルートの進行状況を可視化するには、ワークフローシステムの導入が有効です。
ワークフローシステムの導入で申請・承認業務を効率化!
社内で発生する申請・承認の業務を効率的に行うには、ワークフローシステムの導入が有効です。
ワークフローシステムを導入すると、案件ごとの申請フォームや承認の担当者、分岐条件を設定して、自動で承認ルートを進行することが可能になります。
▼ワークフローシステムによる承認ルートの例
申請から決裁に至るまでのワークフローが電子化されることで、申請ミスや承認漏れを防ぎ、決裁スピードの向上を図れます。
また、オンライン上で承認の処理を行ったり、承認ルートの進行状況を可視化したりできるため、紙書類の受け渡しや状況確認にかかっていた労力を削減できます。
ワークフローシステムは、既存のシステムを導入する方法のほか、Microsoft SharePoint を使って構築することも可能です。
Microsoft SharePoint は、マイクロソフト社が提供する製品です。単体で利用する方法のほか、Microsoft 365(※)に含まれる一部のサービスとして利用できます。
Microsoft SharePoint を用いたワークフローの構築方法や Microsoft 365 の法人プランについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
※Microsoft 365 は、マイクロソフト グループの企業の商標です。
まとめ
この記事では、ワークフローの承認ルートについて以下の内容を解説しました。
- 承認ルートの重要性
- ワークフローの主な承認ルート
- ワークフローの最適化を図るポイント
- 申請・承認業務を効率化するワークフローシステム
ワークフローの承認ルートを定めることで、申請・承認が必要な業務の効率化を図れるほか、不正・ミスの防止につながります。最適化を図るには、案件の内容や重要性に応じて承認ルートを設定するとともに、担当者の不在時にも対応できるようにすること、承認ルートの進行状況を可視化することがポイントです。
また、承認ルートを電子化して進行状況を可視化するには、ワークフローシステムの導入が有効です。既存のワークフローシステムを活用するほか、Microsoft SharePoint を用いてワークフローを構築する方法もあります。
『 ez office 』では、SharePoint 上でワークフローを構築できる Web パーツ『 ez ワークフロー 』を提供しています。紙の書類で行ってきた申請・業務を自動化して、円滑な進行と決裁までのスピード向上を図れます。
社内のワークフローに課題を抱える方は、ぜひお問い合わせください。